富山市の小椋建築 小椋です。

最近、お施主様から「富山型高性能住宅推進事業費補助金を使って断熱リフォームをしたい」というご相談をいただく機会がとても増えてきました。今回取り上げるのは、その中でも既存住宅の「ゾーン改修」です。
富山型高性能住宅推進事業費補助金|富山県公式ページ

確かに、富山県が実施している「富山型高性能住宅推進事業費補助金」は、最大120万円(補助率4/5)という大変手厚い制度です。

しかし、県の公式ホームページや手引きを読んでも、書かれている専門用語が難しかったり、具体的に「どう進めればいいのか」「自分が対象になるのか」が非常にわかりにくいのが現状で実際進めようとすると、

「どこまでを断熱すればいいのか」
「今の家の断熱材はどう確認するのか」
「UA値はどう考えるのか」
「昭和56年6月1日以降というのを何の書類で証明するのか」
「いつ工事契約をしていいのか」

と、確認することがかなりあり、混乱して先へ進めなくなってしまいます。

実は私たちも、案件ごとに県庁へ出向き、「この工事内容で対象になるか」「どんな証明書類が必要か」を細かく確認しながら進めています。毎回確認しながら進めるため時間や労力もかかりますが、それだけ条件がシビアな補助金でもあります。

そこで今回は、自分の備忘録も兼ねて、「富山型高性能住宅推進事業費補助金(既存改修・ゾーン断熱)」のポイントと注意点を、できるだけ噛み砕いて解説します! 「この補助金を使って家を暖かくしたい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

1. ゾーン改修とは?家の一部を断熱する改修

家全体をすっぽりリノベーションする「全体改修」とは異なり、「リビングや寝室など、普段よく使う特定の部屋(生活ゾーン)に絞って断熱化する工事」のことです。

富山型高性能住宅推進事業費補助金を利用したゾーン断熱工事中の室内

和室をLDKに改装し、ゾーン断熱した施工事例はこちら

「予算を押さえつつ、普段過ごす部屋だけをしっかり暖かくしたい」という方にぴったりの改修方法ですが、補助金の条件を満たすにはいくつか超えるべきハードルがあります。

2. 富山型高性能住宅推進事業費補助金を受けられる人

基本的には「建物の所有者」が対象となります。

ただし、ここで一つ注意したいケース(補助金を受けるのが難しいケース)があります。

⚠️「過去に増築などのリフォームをしている家」は注意!

過去に増築を行っている場合、「その増築部分を含めた建物全体が、当時の耐震基準を満たしていること」を証明する必要があります。 これを用意・証明するのは建築的なハードルが非常に高く、実質的に申請が難しいケースがほとんどです。ご自身の家が過去に増築歴があるかどうか、あらかじめ確認が必要です。

3. ゾーン改修の補助条件|断熱範囲・UA値・耐震

ゾーン断熱で補助金を受けるには、主に以下の3つの条件をクリアする必要があります。

① 限定した空間(ゾーン)を断熱化する

どの部屋を断熱するのかを明確にした図面が必要です。確認申請時の図面などがあれば、それを元に断熱境界を記載した図面を作成します。

② 工事後の「Ua値」を0.60W/㎡kより良くする

実施要領を細かく読むと、ゾーン改修については、
断熱改修範囲の熱的境界外を外気と仮定して、その外皮をZEHレベルの仕様基準に適合する建材で断熱化する
という書き方になっています。

断熱性能を表す数値(Ua値)を「0.60以下(断熱等級5・ZEHレベル以上)」まで引き上げる必要があります。 達成できるように断熱材の種類や厚み、内窓(二重窓)の仕様などを選定し、計算を行います。

③ 耐震性能:昭和56年6月1日以降に着工された建物であること

富山型高性能住宅推進事業費補助金を利用する場合、特に注意したいのが耐震性能の確認です。
昭和56年(1981年)6月1日以降の新耐震基準で建てられた家である証明が必要です。

【必要となる書類・確認方法】

  • 確認済証(建築時の書類)
耐震性能:昭和56年6月1日以降に着工された建物であることを確認するための、確認済証

もし「確認済証」がお手元にない場合は、お施主様ご自身で以下の書類をご準備いただく必要があります。

・台帳記載証明書の取得 (※管轄の土木センターや市役所で取得)

4. 補助金申請前に既存の断熱材を確認する

この補助金の申請には、「現在の家がUa値0.60を満たしていないこと(だから改修が必要であること)」を証明しなければなりません。写真等求められます。

そのため、現在の床下・壁・天井に「どんな断熱材がどれくらい入っているか」を事前に現地で確認する必要があります。 点検口が無い場合は、壁や天井に穴を開けて内部を確認させていただく作業が必要になります(事前にお施主様のご了承をいただいた上で行います)。


補助金を使うための調査なのに、補助金が出るかまだ決まっていない段階で穴を開けることになります。

5. ゾーン断熱補助金の申請から支給までの流れ

以下は弊社小椋建築での対応の流れです。
補助金を確実に受け取るためには、順番を守って進めることが極めて重要です。特に「工事契約や着工は、補助金の交付決定後に行う」というルールを破ると補助金が出なくなります。

  1. 現地確認(建物の状態や現況の確認)
  2. 見積書作成
  3. 見積書提出
  4. お施主様による確認(次のステップへ進むか、点検のための穴あけ調査を行ってよいかの確認)
  5. 補助金検討・設計契約
  6. 詳細な図面・断熱計算書の作成
  7. 県庁へ事前相談・確認(作成した書類を持参し、工事内容について協議)
  8. 補助金申請
  9. 補助金交付決定書の発行(※問題無ければ、ここで初めて補助金が出るOKが出ます)
  10. 工事契約の締結(※必ず交付決定後に契約します)
  11. 工事着工
  12. 工事完成
  13. 工事費のお支払い
  14. 実績報告書の提出(※今年度は2027年2月26日締め切り)
  15. 補助金の支給(おそらく実績報告から数ヶ月後)

6. 設計・申請費用と小椋建築の対応

補助金申請には、専門的な断熱計算や図面作成、県庁との事前協議など、多くの専門作業が発生します。
弊社では、お施主様に安心してご検討いただけるよう、以下の区分で対応しております。

  • ステップ①~④(現地確認・初期見積の提出まで):無料 ここで辞められても問題ありません。
  • ステップ⑤以降(詳細図面・計算書作成、県との協議・申請業務):有料(約5~10万円)

※ステップ⑤の段階では、まだ補助金の交付が100%確定しているわけではありませんが、申請にあたって計算と図面作成が必要となるため、設計・申請サポート費として頂戴しております。

補助金はいくら出る?上限120万円・補助率4/5

これらの厳しい条件と手続きをクリアすると、「上限120万円」または「対象工事金額の80%(5分の4)」のいずれか少ない方の金額が補助されます。

工事費用の大部分をカバーできる大変魅力的な制度ですので、しっかり準備をして臨む価値は十分にあります!

まとめ

富山型高性能住宅推進事業費補助金(ゾーン断熱)は、上手く活用すれば非常にお得に我が家を快適・省エネにリフォームできる制度です。

しかし、証明書類の準備や現場調査、県との事前協議など、事前準備のハードルが高いのも事実です。

「我が家は対象になるのかな?」「いくらくらい補助が出るんだろう?」と気になった方は、まずは現在の図面や建築時期がわかる書類をご用意の上、お気軽にご相談ください!

執筆:小椋建築 代表 小椋孝一