富山市の小椋建築 小椋です。
床暖房がある家にお住まいの方から、「最近、前ほど暖かく感じない」「何かメンテナンスが必要ですか?」という相談をいただくことがあります。
今回は、その中でも見落とされやすい「不凍液(ふとうえき)」の話を、リフォーム目線で分かりやすくまとめます。
温水式床暖房の話です
床暖房にも種類がありますが、ここでお話しするのは温水式です。床下の配管に温めた液体を循環させて、床面からじんわり暖める仕組みですね。
既存住宅でも、築年数に関係なく温水式が入っているお宅はあります。リフォームの相談でも、現状の設備を活かしたい方は多いです。
配管の中を流れているのは「水」ではなく不凍液です

温水式床暖房の配管の中を流れているのは、普通の水ではなく不凍液です。
理由は大きく2つあります。
ひとつは凍結しにくくするため。富山の冬は冷えますから、設備を守る意味でも大事です。
もうひとつは、配管や機器の腐食を抑えるため。中を流れる液体の状態は、設備の調子にも関わってきます。
不凍液は減ることがあります。だから点検と補充が必要です
不凍液は入れっぱなしで永久に同じ量、というものではありません。
目安としては、3年から5年ごとに水位を確認して、減っていれば補充を考える、という流れになります。機器によっては水位計が付いているので、まずはそこで今の状態を把握するのが第一歩です。
なぜ減るのかというと、不凍液に含まれる水分が循環の中で蒸発していくことがあるからです。
もちろん「漏れ」がゼロとは言い切れませんが、いきなり決めつけず、まず水位の変化を見て、必要なら点検につなげる。こういう順番が安心だと思います。
水分が減ると、暖かさに影響することがあります
水分が減ると不凍液の粘度が上がり、循環がゆっくりになることがあります。
そうなると温まった不凍液がうまく回らず、「前より効きが弱い気がする」と感じる原因になることがあります。
床暖房の不調って、機械の故障だけじゃなく、こういう基本的なところが積み重なって出てくることもあるんです。
点検のおすすめ時期は、暖房の出番が少ない季節です
真冬は床暖房がフル稼働しがちなので、点検や補充の段取りが取りにくいことがあります。
おすすめは、暖房をあまり使わない時期に一度確認しておくこと。次のシーズン前に「水位は大丈夫そうだな」と分かっているだけでも、冬の安心感が違います。
ここからがリフォームの話です。今の床暖房を維持するか、見直すか
不凍液の点検や補充は、温水式床暖房を長く使っていく上での基本です。
ただ、リフォームの相談ではもう一歩踏み込んで、「この先も温水式を維持するか」「将来の維持の手間まで含めて方式を見直すか」という話になることがあります。
私が新築で温水式から床下エアコンという選択肢も見るようになった理由

新築の話も混ざりますが、考え方はリフォームにも共通します。私が床下エアコンを採用するようになった理由は、住み始めてからの維持の大変さを、できるだけ減らしたいと思ったからです。
不凍液という定期作業がなくなる
床下エアコンは、家庭用エアコン1台で床下空間を温めて、家全体をじんわり暖める考え方です。
温水式のように不凍液の補充や交換といったメンテナンスが基本的に不要になるので、「何年かごとに点検・補充」という負担を減らしやすいのが特徴です。
将来の修理・入れ替えの考え方がシンプルになる
温水式は機器構成が複雑なので、もし熱源機が不調になると、修理内容によっては手間が大きくなることがあります。
一方、床下エアコンは中身が市販のエアコンなので、将来の入れ替えを考えるときに選択肢が分かりやすい、という面があります。
変化に対応するのが、住まいを預かる側の仕事
昔からのやり方を続けること自体が悪いわけではありません。
ただ、住まい手の暮らし方も、設備も、時代と一緒に変わります。いまの家にとって何が良いのかを、都度見直してアップデートしていく。私はそれが、富山で家づくり・リフォームに関わる者としての誠実さだと思っています。
ただし、床下エアコンは何にでも合う万能薬ではありません
ここが大事で、床下エアコンを最大限活かすには、家の断熱や気密、床下のつくり、基礎の考え方まで含めて向き不向きを見極める必要があります。
リフォームの場合は特に、家ごとに条件が違います。
だから私は、いきなり方式ありきで話を進めず、まず現地で床下や断熱の状態、暮らし方の希望を確認してから、「今の温水式を整えて使うのが良いのか」「将来も見据えて見直すのが良いのか」を一緒に整理するようにしています。
床暖房は、きちんと回ってこそ良さが出る設備です。不凍液は普段見えない部分ですが、暖かさや安心感に関わる大事な要素になります。
「最近、効きが弱い気がする」「水位計ってどこにあるんだろう」そんな小さな違和感でも、早めに状況が分かると冬がラクになります。
今の設備を活かすのか、方式も含めて見直すのか。家の状態と暮らし方に合わせて、落ち着いて一緒に考えていきましょう。

